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280 イリノイ ★★★★★

イリノイイリノイ
(2005/08/05)
スフィアン・スティーヴンス

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【2000年代、僕が狂った20枚】 第16位

スフィアン・スティーヴンス 『イリノイ』(2005)


なんて心地良いんだろう。スフィアン・スティーヴンスのアホプロジェクト、アメリカ50州のすべてについてアルバムをつくるという「アメリカ50州シリーズ」の2作目。1作目『ミシガン』も素晴らしいアルバムだが、それを超える歴史的名盤。

バイオリン、ヴィオラ、チェロの弦楽カルテットに加え、このアルバムでピョロロロ~♪と特徴的な音を与えているフルートや鉄琴、そしてスフィアンお得意のバンジョーなど、きわめて多くの楽器が使われており、かつそれらがシンプルに調和している。また、ボブ・ディランやブライト・アイズなど他のフォークシンガーにも共通することだが、リズムを尖らせずに大きなうねりで表現することが非常に巧い。たくさんの楽器があってもリズミカルなのは、尖るリズムではなくうねるリズムだからだ。

内省的で静かな『ミシガン』も、外向的で明るい『イリノイ』も、なぜか懐かしい響きをもっている。フォークっぽくもあるし、カントリーっぽくもあるし、もっと言えば民謡っぽくもある。アメリカで生まれた楽器バンジョーを弾き、アメリカのルーツミュージックを歌って、アメリカ50州についてのアルバムを作る。スフィアンほどアメリカ人であることの自意識を明確にするポップミュージシャンは他にいない。2000年代はアメリカが経済的にも文化的にも力を失っていく時代だった。でもね、これを聴いたら、アメリカ文化をバカにするなんてとてもできっこない。それくらいすごい。

2005年、僕は一年中朝から晩までひとりで勉強していた。退屈で苦しく重く、先が見えない吐きそうな日常。気が狂いそうになるところを音楽が引き止めてくれていた。『イリノイ』はちょうどそのときに現れ、僕は気が狂うかわりにまさに狂ったように『イリノイ』を聴いたのだ。

279 Costello Music ★★★★★

Costello MusicCostello Music
(2007/03/13)
The Fratellis

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【2000年代、僕が狂った20枚】 第17位

ザ・フラテリス 『コステロ・ミュージック』(2007)


iPodのCMでおなじみ、バラッパバララララ~♪のフラテリスの傑作ファースト。このiPodのCM曲(「Flathead」)ばかりがフィーチャーされてしまう『コステロ・ミュージック』だが、とんでもない、このアルバムの良さは全曲のレベルが平均的に高すぎることだ。全部シングルカットしても不思議じゃない。どれも聴きやすくかつハマる要素があって、洋楽入門としては最適な1枚だろう。

アークティック・モンキーズと同時期に現れたがために、ストロークスの次の世代として括られてしまいがちだが、それも全然違う。フラテリスの音楽はオールディーズだ。ビートルズでもなく、コステロでもなく、オアシスでもない。フラテリスが再現しているのは、それより前の音楽、例えばリトル・リチャードであり、ザ・キンクスだ。ジャケットもチープ、タイトルもチープ、音もチープなのはそのためだ。でもそのチープさが格好いいんだよねー。

3ピースのシンプルな力強い音と、ザ・キンクスばりのキャッチーなメロディにのせて歌われるのは、イギリスロックの伝統的なテーマである「少年と少女の物語」だ。少年たちは少女に家出してコステロの音楽でも聴こうと誘い、少年はいつも寂しく、少女もいつも寂しく、みんなは僕が昨日の夜泣いたことを知っていて、チェルシーは自分の居場所がなくて困っている。永久不滅の普遍のテーマ。

サマソニで観たライブが忘れられないからこんなに高い順位にした。あの異様な高揚感と統一感はなんだったんだ。パンクキッズも、ロック野郎も、テクノボーイも、全員が踊り狂っていたような気がする。フラテリスがジャンルの壁を超えているのは、オールディーズがもつ普遍性を彼らが手にしてしまったからだろう。知らない人たちとみんなで踊った思い出の1枚。

278 Modern Times ★★★★★

モダン・タイムズモダン・タイムズ
(2006/08/30)
ボブ・ディラン

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【2000年代、僕が狂った20枚】 第18位

ボブ・ディラン 『モダン・タイムズ』(2006)


ボブ・ディラン44作目のアルバム。発表当時、ディランは65歳。まったく、クリント・イーストウッドとボブ・ディランには本当に頭が下がる。衰えなど微塵も感じさせない。80年代に過去の人になりさがったディランが2000年代になって輝きを取り戻しているのは非常に面白い。ディランが変わったのか、時代が変わったのか。ディランが音の生々しさを取り戻しはじめたのは『タイム・アウト・オブ・マインド』(1997)からで、BECKが提示したローファイやロックンロール・リバイバルとどこかでリンクしているのだろう。不思議なものである。

さて、本作『モダン・タイムズ』はかなり渋いアルバムで、ディランファン以外はまず手をつけないだろう。夜に聴くとたまらなく良いと言えば、少しは雰囲気がわかるかもしれない。ブルース・カントリーなどのルーツミュージックを基調としたセッションだが、このグルーヴ感が抜群に良いのだ。古い音楽を新しく響かせるのはディランが生涯行ってきたことで、まさに芸の極みと言ってよい。しわがれたディランの歌声は、当然かつてのディランのものではない。しかし甘くささやくようなその歌声は、かつてのものとは別物として素晴らしい。ディランの45年の偉大なキャリアの中でも、ナイト・ミュージックとしてならばこのアルバムがベスト。

前作、『ラヴ・アンド・セフト』は2001年9月11日に発表された。奇しくもあのアメリカ同時多発テロの日である。どこか軽やかで楽しげだった『ラヴ・アンド・セフト』に比べて、『モダン・タイムズ』は静かで、少しメロウで、そしてとてつもなく優しい。9・11でディランが傷つかなかったわけがない。それなのに、これまででもっとも優しいディランの歌声を聴くたびに、僕はなんだか泣きそうになるのだ。

277 The Age of the Understatement ★★★★★

ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメントジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント
(2008/04/16)
ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ

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【2000年代、僕が狂った20枚】第19位

ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ
『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』(2008)


アークティック・モンキーズのアレックス・ターナーとラスカルズのマイルズ・ケインがふたりでスコット・ウォーカーのコピーをするためにつくったのがこのユニット。そんな気晴らしのようなサイドプロジェクトによって生まれたこのアルバムは、古典的であるがゆえに誰もが聴いたことがあるようで、しかし同時に現代的であるがゆえに誰も聴いたことがない、すさまじい作品となった。

このアルバムは多分、2000年代のポップミュージックのどんな潮流にも属していない。似たものがないのだ。スコット・ウォーカーに影響を受けたミュージシャンはトム・ヨークなどきわめて多いのだが、ここまで直球で取り込みつつ、自分のものにしてしまったミュージシャンはいなかった。60年代の歌謡曲のメロディと、スコット・ウォーカーのヴォーカルの影響と、アレックス・ターナーの独特のラップロック節と、ロック調のギターリフと、過剰すぎるほど重層なストリングスと、あえて古臭さを出したエコーをきかせた録音と、テクノミュージックらしいシンプルな音から多重の音への移行という曲の構成と。しかし何よりも素晴らしいのはやはり、単純に歌・曲の良さだ。ふたりのメロディメイカー・ヴォーカリストとしての能力の高さを存分に発揮している。それにしても、このアルバムの特徴を挙げれば挙げるほど、いかに自由に作られているかを再認識する。

なぜ、こんなにも古典的で現代的なアルバムが生まれたか。それは元々歌謡曲のベースを有するふたりのロックヴォーカリストがスコット・ウォーカーという古典に出会い、それを自分たちでやろうとしたときにジェームズ・フォード(テクノっぽい人)とオーウェン・パレット(クラシックっぽい人)を協力者に選んだからだ。そしてそれは、彼らにとっては何ら不思議ではない、自然なことだった。

僕たちの世代は、何かにこだわらない。それが古典だから良いとか悪いという判断はしない。古典であろうと流行のものであろうと良いものは良いし悪いものは悪いという判断をする。名をとらず実をとり、良いものならばこだわりなく文化を消費していく。そしてこのこだわりのなさが、これまでであれば容易には交わらなかった文化を軽々と交えさせてしまうのだ。ロックもポップもラップもテクノもクラシックも歌謡曲も、良いものを全部軽々と取り込んだこのアルバムは、僕たちの世代の文化に対する姿勢と、その姿勢によってこそ生まれる新たな文化を存分に示している。

276 Bring 'Em In ★★★★★

Bring 'Em InBring 'Em In
(2003/08/26)
Mando Diao

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【2000年代、僕が狂った20枚】第20位

マンドゥ・ディアオ『ブリング・エム・イン』(2003)


ロックの世界では辺境と言ってよい北欧スウェーデンから現れ、なぜか日本でだけバカ売れしたマンドゥのファースト。当時、洋楽のロックをまともに聴いたことのなかった自分は、川西池田HMVの試聴機でこれを聴いて震え上がった。ギャリギャリと直接的に響くギター。あまりにも粗削りなサウンド。あえてノイズを入れたヴォーカル。それでいて至極ポップなメロディ。いま思えば、この試聴機の前で震え上がったときこそが、自分が「ロックンロール」を初めて体験した瞬間だった。

「ガレージロック・リバイバル」なーんていう言葉で、ストロークスなどと一緒に括られてしまうマンドゥだが、同時期に現れた他のバンドと明確に異なることがある。それは、ビートルズからの影響度。マンドゥ・ディアオは直系と言ってよい。ポップなメロディにロックなサウンドをのせるのは、初期ビートルズがやっていたこととおんなじだ。ビートルズの遺伝子を色濃く継いでいるからこそ、同じくビートルズ遺伝子を有するミスチルファンの自分は入り込みやすかったのかもしれない。

いずれにせよ、自分がロックンロールに目覚めてしまったのはこの1枚が原因である。このアルバムは名曲ぞろいだと言い切れるが、完成度は高くはないから一般的にはあまり評価は高くないだろう。だが、そんなことは知ったこっちゃあない。自分がハマったのはむしろ粗削りであるがゆえであり、とにかくこの1枚から自分はどんどん狂っていくのである。自分にとってのロックの初期衝動は、この『ブリング・エム・イン』にある。僕を狂わせはじめた決定的な1枚。

275 カブのイサキ ★★★★★

カブのイサキ 1 (アフタヌーンKC)カブのイサキ 1 (アフタヌーンKC)
(2008/10/23)
芦奈野 ひとし

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地面が10倍になった日本が舞台。
隣町が遠いので、買い物に行くにも飛行機で行く。

どこか終末観がただよう世界で、
人々はゆったりと生きている。
別に何も起きない。
飛行機にのってちょっと出かけるだけ。
なのに、何度も読み返してしまうのはなぜだ。

このマンガの旋律は、ターンAガンダムに似ている。
空は広く、風はゆったりと流れる。
そうか。そういうことか。
空が広いこと、風がゆっくり流れることが、
とてつもなく嬉しいんだろうなあ。
広い空の下では、人は笑うじゃないか。

「イサキ、うちのカブに乗るときは
 目的地とか・・二の次だからね。」

274 Humbug(ハムバグ) ★★★★

ハムバグハムバグ
(2009/08/19)
アークティック・モンキーズ

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平均年齢23歳でここまで老成するとは、
とビックリするくらい渋い3枚目。

アークティック・モンキーズのスゴさは、
凹凸をクッキリつけたリズムと、
ラップ感覚でのせる言葉の疾走感だったが、
この3枚目ではどちらもあまり見られない。
遅いのだ。
2枚目であれだけ速くなったのに。
クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジの
ジョシュ・オムがプロデュースしたらしく、
ヘヴィではあるが、凹凸感が少ないのはもったいない。
アメリカのハードロックはうるさいけど凹凸がないんだよなあ。

とケチをつけつつもこのアルバムはやはり良い。
これまでの良さとはちがうのだからすごいじゃないか。
このアルバムは、歌モノです。
アレックス・ターナーの歌声はこれまでにも増して良い。
2曲目なんて、僕はなぜかトム・ウェイツを思い出した。

アークティック・モンキーズはとにかく媚びない。
同じものは二度とつくらないという気構えと、
それを実現してしまう実力に脱帽する3枚目の佳作。

273 コードギアス 反逆のルルーシュ ★★★

コードギアス 反逆のルルーシュ 1 [DVD]コードギアス 反逆のルルーシュ 1 [DVD]
(2007/01/26)
福山潤櫻井孝宏

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非常に評価の高いアニメ。

が、自分には全く合わなかった。
好きなところがほとんどない。
キャラクターもいかにもアニメなキャラでダメ、
キャラクターデザインも趣味が全く合わず、
声にいたってはこれまで見たアニメで最下級。
ターンエーでキースの声をしていた福山さんが主役だが、
キースの声は最高だったのにこのアニメでは良くない。
その他の声優はもう完全にアニメ声でなかなか辛い。
ロボットアニメなので戦争が描かれるが、
この戦争の描き方は生理的に受け付けない。
結局エンターテイメントなんだろう?
知ったようなふりしてエグいシーンを出せばいいもんじゃない。

というわけで全然好きではないのだが、
アニメファンが喜ぶような記号をバラまき、
裏と表の顔をもつ変り種のヒールの主人公を置き、
それでいて全体として先が気になる構成をつくって、
「売れる」ものを作り上げた大河内一楼には拍手を送りたい。
何よりもまず、売れなきゃダメだというのはひとつの事実だ。

272 俺はまだ本気出してないだけ ★★★

俺はまだ本気出してないだけ 1 (IKKI COMICS)俺はまだ本気出してないだけ 1 (IKKI COMICS)
(2007/10/30)
青野 春秋

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こういうのニガテなので、
全然ダメかなあと思って読んでみたら、
意外にも単なるニートマンガではなかった。
いや、大半はどうでもいいニートマンガなのだが、
たまに人間存在の本質を突くようでギョッとする。

ニートだとダメなのか?
仕事が人間を測るのか?
能力主義が世にはびこって久しい。
その人が何をできるかで人間の価値が決められる。
将来キャッシュ・フローで私達の価値は測定される。
それが恐ろしいことだというのは簡単だが、
過去から働き者は評価されてきたのだ。
その事実をどう見るか?
僕の答えは決まっている。
人はみな、社会において役割を演じることを求められる。
その役割をうまく演じた者が、社会から高い評価を受けるのだ。
ただ、それだけ。
そいつがどれだけ金を稼げるかは関係ない。
そいつがどれだけ社会に貢献できるかだ。
金を稼げるか否かと、社会貢献できるか否かは違う。
家族だって、社会なのだから。

それにしても、タイトルがずば抜けて良い。

271 弱虫ペダル ★★★

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)
(2008/07/08)
渡辺 航

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見てのとおりの自転車マンガ。
チャンピオンらしくなく、いかにも少年漫画。
アツいしウマい。
が、それがずっと続くのが惜しい。
なんだか単調なのである。
ずっとがんばって自転車こいでる。
あ、そうか、恋愛要素が少ないんだ。
やっぱ少年漫画には、ハルコさーん、が必要なのか。
帰りの電車の中で読むには面白いが、二度は読まない。
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